５月1日の鈴蘭

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今朝、会社に行くと
花キューピットの大きな箱が届いていた。
何かの記念日だったっけ？と考えながら
「なに？」と夫に聞くと
「ミュゲ（スズラン）だよ」の答え。

「シアワセを運んできてくれる花だよ」
と付け加える夫。

ギョッとした。

ブドウの樹以外の植物にはほとんど感心がなく、
チューリップとガーベラの区別さえ怪しいヒトが
花言葉なんぞを、澄ましたカオで言ってる。

どうしたんだ、いったい・・・
と考えながら箱の中を覗くと
スズランの花束がふたつ。
「清楚」という言葉がぴったりな
青臭くて甘くて、どこか懐かしい香りが
箱中に漂っている。

添えられたカード。
「何て書いてあるの？」と聞く夫にむかって
それを読んだ。

「鈴蘭は幸せを運ぶ花だとか。
　幸せが何倍にもなるように二つにしました。
　その言い伝えに願いを託します。」

読みながら涙があふれた。
聞いてた夫も、目と鼻が真っ赤になってる。

東京に住んでいた10年以上前、
夫が日本で初めて日本語を習った先生。

彼女からの贈り物だった。

いつか私も、
疲れ切った友人に
こんな贈り物をしよう、と
心に誓った。

追伸：フランスでは5月1日、街中が鈴蘭の花束であふれます。
　　　大切な人にその年の幸運を願って鈴蘭を贈る風習があって、
　　　花音痴の夫にとっても、鈴蘭は特別な花なのでした。