うらのメシや
category: 震災 その後
![うらのメシや](https://wine-mura.com/wp-content/uploads/2011/10/blog_import_5c7358e3cd56b.jpg)
ストロー付きの水筒なのに、中身が少なくなると未だに逆さまにする息子。それ逆なんだけど。
幼稚園から帰ってきていきなり
「う〜ら〜め〜し〜や〜」と始めた息子。
オバケごっこしたのね、うらめしやっておぼえたのか、と面白がって聞いてたら、
「う〜ら〜の〜メシや〜」と言う。
幼稚園児にしてはシブいジョーク。
「ナンだそれ、ぎゃっハッハ」と笑った。
息子の担任と副担任の先生は
ハツラツとした若い先生ではなく、
どちらかと言うとベテランの先生。
保育士生活20年くらいにはなってるだろうか。
二人ともドンと来いタイプで、
なにがあっても動じない。
震災後ひと月くらい経ってからの初めての参観日、
参観中に強い余震が来て子供が怖がった時も、
「玄関からゾウさんが入ってきたねぇ」
と言って、何ごともなかったようにクラスを進めていた。
でも先生だってホントは怖い。
後日、面談のときに
「3月11日は夜まで足の震えが止まりませんでした」
と教えてくれた。
参観日のさよならの挨拶の前、
父兄に向かってこの先生が
「命がけでこの子供たちを守らせて頂きます。
どうぞ普通の生活に戻してあげて下さい。」
と言った。
“命がけ”という先生の言葉は
微塵の疑いもなく私の胸の内に響いた。
「うらのメシや」もこの先生の入れ知恵だと思う。
普段はぶっ飛んでいて可笑しなことばかり言っている先生だけど、
あの時の真剣そのものを、私は決して忘れない。